2017年8月3日木曜日

【教員インタビュー】理学研究科 趙大鵬教授

 7月25・26日の二日間にわたり、本学のオープンキャンパスが開催された。今回は本学で研究を行っている先生方にインタビューを行い、研究内容や学生時代のエピソードについて紹介していただいた。大学での研究や生活についてイメージを膨らます機会となれば幸いである。




 ―どのような研究をしていますか


 地震波を用いて地球内部の三次元構造を解析する地震波トモグラフィーを専門としています。地球の内部は直接見ることができないため、地震波を観測することで地下における地震波速度の分布を調べ、地下構造を推定します。この地震波速度の分布は地下の温度分布などを反映しており、それを調べることで地震・火山の研究に大いに役立てることができます。


 私が学生時代に開発した地震波トモグラフィーの計算プログラムは現在世界の多くの研究者に使われています。また約10年前に、私は地震波の性質が方向によって変わる「地震波異方性」という現象に着目し、地震波異方性トモグラフィー法を開発しました。この新しい方法を応用した結果、マントル対流などの地球内部の動的な情報を抽出できるようになり、我々の地球内部のダイナミクスと地震火山活動に関する理解が飛躍的に進歩したと考えています。現在私の研究室ではこの分野において世界最先端の研究をしています。


 ―地震研究者を志したきっかけは何ですか


 1976年に起こった唐山地震がきっかけです。当時13歳だった私はこの地震の被害の大きさに衝撃を受け、地震が予知できれば多くの命が救われるのではないかと考え、地震研究者を志しました。


 ―学生時代はどのように過ごしましたか


 とにかく一生懸命勉強をしていたことを覚えています。地震の研究者になりたいという目標があったため必死になって勉強した結果、当時倍率が一万倍ほどあった北京大学に合格することができました。また当時の中国が政策を転換したことで、外国の情報が手に入るようになり、世界の先進国の研究がとても進んでいることがわかり、衝撃を受けました。そのため私は海外留学を志し、奨学金を得るための競争の激しい試験に備えて勉強し、奨学金を勝ち取り、東北大学に来ました。


 ―東北大学に来てからは、どのように過ごしましたか


 修士課程1年の時に東北大学に来たのですが、やはり北京大学にいた時と同様に一生懸命に勉強をしていましたね。特に当時日本の研究でよく用いられていたコンピュータプログラミングに興味を持ちました。しかし、プログラミングの教科書はカタカナで書かれた外来語が多く、非常に苦労したことが印象に残っています。その後、博士課程1年の時に地震波トモグラフィーの研究を始め、その際にプログラミングの知識が役に立ったので、あの時の苦労が無駄にならずよかったです。ただ、勉強に集中しすぎて社会にあまり関心がなかったので、もう少し社会に目を向けてもよかったかもしれません。


 ―研究において楽しいこと、辛いことを教えてください


 難問を解決し、論文を発表するときは達成感を感じ、とても楽しいです。一方で地震によって多くの方が亡くなった際は非常に辛いです。自分も一人の地震研究者であるため、責任を感じ、罪の意識に苛まれます。


 ―今の東北大生についてどう思われますか


 30年前、私がまだ学生だったときと変わらず、真面目な学生が多いと思います。ただ、危険なので歩きスマホだけはやめてほしいです。


 ―高校生に一言お願いします


 No pain, no gain.


 何かを捨てなくては、目標を達成することができません。一つのことに自分のエネルギー全てを傾け、自分の目標に向かってがんばってください。

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